こんにちは。お酒大好き。イチローです。
皆様はウイスキーとブランデーの違いをご存知でしょうか。
分かるに決まってるだろう
突然の知識マウントやめて
そんな声が聞こえて来るようです。ごめんなさい。
それでも私はウイスキーとブランデーの違いについてお話しさせて頂きます!言い出したら聞かない。それがイチローです。
今日はウイスキーとブランデーの違いを、定義や原料、製法から再確認してみましょう!文末にはそれぞれの代表的な銘柄も紹介しています。
それではまずは定義の違いからご覧下さい。どうぞ!
ウイスキーとブランデーの違い|定義
今、私はジャン・フィユーという銘柄のブランデーを頂いています。ふくよかな香りが膨らむとてもお気に入りのブランデーです。
このブランデーは葡萄を原料としたお酒です。
葡萄…そう。葡萄です。果物です。
穀物を蒸留したお酒をウイスキーと呼ぶのに対し、果実を蒸留したお酒はブランデーと呼ばれます。
原料が変わると呼び名も変わる。それが世の常です。
特に補足する情報も無いので次に進みます。
ウイスキーとブランデーの違い
定義
ウイスキーとは
▼
穀物のお酒(蒸留酒)
ブランデーとは
▼
果実のお酒(蒸留酒)
※蒸留酒とは|原料を醸造した後、蒸留してアルコール度数を高めたお酒の事
※醸造とは|原料を酵母の力でアルコール発酵させる事
ウイスキーとブランデーの違い|原料
ウイスキーは穀物の蒸留酒、ブランデーは果実の蒸留酒である事が分かりました。しかし、一口で「穀物」「果実」と言ってもその種類は様々です。
ウイスキーには主に以下の穀物が使用されます。
・大麦(麦芽)
・小麦
・トウモロコシ
どれもウイスキーをウイスキーたらしめる香味を産む素晴らしい原料です。
※この他にもアワ、キビ、栗、オーツ、そば、米を使ったお酒もウイスキーとなり得ます。ウイスキーの懐は大変深いです。
そしてブランデーには主に以下の果実が使用されます。
・ブドウ
・リンゴ
・サクランボ
どれもスイーティな味わいの元となる唯一無二の原料です。原料ごとの香味の違いが顕著な事も特徴です。
※この他にもプラムや木苺を使ったものもブランデーと呼ばれます。蜂蜜を原料とした「ハニー・シュナップス」もブランデーに属するとする意見もありますが、詳細は不明です。
ウイスキーとブランデーの違い
主な原料
ウイスキーの主な原料
▼
大麦麦芽・小麦・トウモロコシ
ブランデーの主な原料
▼
ブドウ・リンゴ・サクランボ
※原料が変わるとその香味も変わります。その為、何を原料としたお酒なのかを分かりやすくする為に「モルト(大麦麦芽)ウイスキー」や「グレープ(葡萄)ブランデー」というように、そのお酒の名前の前に原料名を表記するのが一般的です。次章で詳しく説明します。
ウイスキーとブランデーの違い|種類
ひと口にウイスキー、ブランデーと言っても色々な原料がある事が分かりました。しかし疑問は残ります。どの原料を使っても同じ「ウイスキー」「ブランデー」に過ぎないのでしょうか。
実は、原料が変わると呼び名も少しだけ変化します。例えばウイスキーの場合なら…
大麦麦芽(モルト)を原料とした場合はモルト・ウイスキーと呼ばれるようになります。ライ麦を利用した場合はライ・ウイスキーと、トウモロコシを利用した場合はコーン・ウイスキーと呼ばれます。
原料名がアタマに書かれるようになります。分かりやすいですね。
ブランデーも基本的に原料の名前がアタマに付きます。チェリー・ブランデーやアップル・ブランデーと言うように。グレープ・ブランデーも同様です。
※グレープブランデーの一種であるコニャックやアルマニャックについては次章で詳しく説明します
ウイスキーとブランデーの違い
ウイスキーの種類
原料 | 名称 |
---|---|
大麦麦芽 | モルト・ウイスキー |
穀物全般 | グレーン・ウイスキー |
ライ麦 | ライ・ウイスキー |
玉蜀黍 | コーン・ウイスキー |
ウイスキーとブランデーの違い
ブランデーの種類
原料 | 名称 |
---|---|
葡萄 | グレープ・ブランデー ※コニャック、アルマニャックはこの分類に属する |
林檎 | アップル・ブランデー ※カルヴァドス、アップルジャックはこの分類に属する |
桜桃 | チェリー・ブランデー ※キルシュヴァッサーはこの分類に属する |
※ブランデーについて|補足「生産地域による違い」
ブランデーはその原料の名前がアタマに付く事が多い事が分かりました。しかし、それではコニャックやアルマニャックは一体どう違うのでしょうか。どちらも葡萄を原料とした「グレープ・ブランデー」のはずでは?
それには生産地域が関係しています。特別な生産地域で生産されたブランデーには特別な名前が与えられるのです!
フランスのコニャック地方で作られたグレープ・ブランデーはコニャックと呼ばれます。そしてフランスのアルマニャック地方で作られたグレープ・ブランデーはアルマニャックと呼ばれます。
具体的には以下をご覧下さい。
原料 | 産地 | 特別な名称 |
葡萄 | 仏・コニャック地方 | コニャック |
仏・アルマニャック地方 | アルマニャック | |
林檎 | 仏・ノルマンディー地方 | カルヴァドス |
アメリカ合衆国 | アップルジャック | |
桜桃 | – | キルシュ |
また、これら特別な名前を名乗る為にはそれ相応の品質が求められます。つまり「特別な名前を持つブランデーはある程度の品質が保証されている」のです。
つまり
「只のグレープ・ブランデーじゃないぞ!」
「特別品質のコニャック様のお通りだ!!」
…と言ったイメージですね。
こう聞くと高飛車に感じますが実際良いモノなのでぐうの音も出ません。ブランデーを選ぶ際の参考にしていただけましたら幸いです。
※コニャックは単式蒸留器で2回蒸留を行います。対してアルマニャックは半連続式蒸溜機で一回だけ蒸留されます。その為アルマニャックの方が力強い味わいになる事が多いと言われています。
ウイスキーとブランデーの違い|製法「糖化」の有無
ウイスキーとブランデーの違いの一つに「糖化」の有無があります。マニアックな話になりますが…
大前提として、アルコールを発生させるには「糖」が必要です。そして、ブランデーを生産する場合は原料の果実に糖分が含まれているのでそのまま発酵する事ができます。
しかしウイスキーはそうはいきません。原料である穀物にはアルコール発酵の元となる糖分が含まれていないのです。その為、ウイスキーを生産する際は「糖化」という工程が必要になってきます。
※糖化とは|穀物の中に含まれているでんぷん質を糖に分解する為の工程
この「糖化」という工程は穀物を原料としたお酒特有のもの。ウイスキーとブランデーは、味わいだけでなく作り方も異なるのです。
ウイスキーとブランデーの違い
製法「糖化」の有無
ウイスキー
▼
糖化の必要がある
ブランデー
▼
糖化の必要が無い
ウイスキーとブランデーの違い|味の決め手
ウイスキーとブランデーに共通する生産工程に「樽熟成」が挙げられます。蒸留したお酒を数年…あるいは数十年、樽で保管する事で、樽のエキスがお酒に染み込み、味がマイルドになります。
ウイスキーの味わいは「樽で決まる」と言われています。お酒自体の香味はブランデーに比べてスッキリとした味わいになる傾向がある為、樽の成分をより際立たせる事が出来るのです。
※シェリー酒が染み込んだ樽で熟成したウイスキーはベリーやナッツなどシェリー由来の香りが目立ち、バーボン・ウイスキーが染み込んだ樽で熟成したウイスキーはシトラスやバニラなどの香りが目立つようになります。
もちろんブランデーも樽の違いが味の違いに繋がりますが、ウイスキーに比べて原料の味わいが色濃く出ている為、製法の違いがより顕著に現れている気がします。
ウイスキーとブランデーの違い
味の決め手
ウイスキー
▼
樽の影響が強い
ブランデー
▼
原料の影響が強い
※ウイスキーとブランデーを比較すると上記のようになりますが、ウイスキーも原料の違い(大麦麦芽、ライ麦、トウモロコシなど)で味は変化します。詳細は別記事で紹介させて頂きます。
※ブランデーについて|補足「ブランデーとは」
ブランデーとは本来コニャックを表す言葉でした。それが時代と共に果実酒全体を表す言葉に変化しました。
語源はフランス語で「brandewijn(ブランディワイン=焼いたワイン)」。コニャック地方のワインを蒸留したもののことをそう称したことに由来しています。
現代でも、コニャックのことをあえてブランデーと表現される方は少なくありません。お話しする際は相互認識をご確認の上お使い下さいませ。
ウイスキー|代表的な銘柄
世界一売れているトウモロコシ中心のウイスキー
ジャックダニエル
生産 | アメリカ合衆国、テネシー州 |
---|---|
原料 | トウモロコシ80%、ライ麦、大麦麦芽 |
樽材 | オーク樽 |
特別な工程 | 原酒をサトウカエデの炭で濾過する |
味わい | 力強いバニラとハチミツ |
定価 | 約2,500円 |
コメント | アタックが強いウイスキー。しかしバニラとハチミツの甘味が癖になる。コーラとの相性が抜群に良い。ワンランク上の「ジャックダニエル・シングルバレル」も格別な味わい。 |
世界一売れている大麦麦芽から作られたウイスキー
グレンフィディック
生産 | スコットランド、スペイサイド地区 |
---|---|
原料 | 大麦麦芽 |
樽材 | オーク樽 |
特別な工程 | 蒸留器は直火加熱式(一部間接加熱) |
味わい | 洋梨の爽やかな香り |
定価 | 約3,300円 |
コメント | スッキリとしていてフルーティなスコッチウイスキー。18年以上の熟成で本領発揮(個人的見解)。12年、18年、21年と飲み比べるのも楽しい。 |
大麦や小麦など色々な穀物から作られたウイスキー
知多
生産 | 日本、愛知県 |
---|---|
原料 | 穀物(トウモロコシ、ライ麦、小麦など) |
樽材 | オーク樽 |
特別な工程 | 連続式蒸留器で蒸留 |
味わい | 大変軽やかでスムースな味わい |
定価 | 約4,000円 |
コメント | クセがなく飲みやすいウイスキー。ハイボールにした際の軽やかさは群を抜いている。飲み疲れている日の最適解。 |
世界一売れている色々なウイスキーをブレンドしたウイスキー
ジョニーウォーカー ブラック
生産 | スコットランド |
---|---|
原料 | モルトウイスキー、グレーンウイスキー |
樽材 | – |
特別な工程 | 50種類前後の原酒をブレンド |
味わい | スモーキー、ハチミツ、ドライフルーツ |
定価 | 約2,000円 |
コメント | スモーキーでコクがある。スコッチウイスキーの良いとこ取りをしたブレンデッドウイスキー。行けるとこまで行っちゃいたい日はこのウイスキーのハイボールをお勧めします。 |
ブランデー|コニャックの代表的な銘柄
ブランデー、それもコニャックには5大コニャックとされているものが存在します。世界で圧倒的なシェアを誇る5大ブランド。それを紹介させて頂きます。
・葡萄の品種・
使用できる葡萄品種は以下3種が認められています。
「ユニ・ブラン」「コロンバール」「フォル・ブランシュ」
※全体の10%までなら以下の品種も混合することが認められています。「フォリニャン」「ジュランソン・ブラン」「メスリエ・サン=フランソワ」「モンティル」「セレクト」「セミヨン」
・蒸留器の形状・
蒸留器は下記形状で行う事が定められています。
シャラント式蒸留器(単式蒸留器)
・蒸留時の決まり事・
直火式加熱で行う事
2段階の蒸留を行う事
※澱とともに蒸留する「リーズ蒸留法」という蒸留法も存在する
格付けシステムの生みの親
ヘネシー V.S.O.P. フィーヌシャンパーニュ
地域 | フランス・コニャック地方 |
---|---|
品種 | 白葡萄(ユニブラン) |
蒸留 | リーズ蒸留法(澱ごと蒸留する方法) ※加熱温度は一定に保つ |
樽材 | 樹齢100年以上のフレンチオーク樽 ハイトースト |
定価 | 約12,000円 |
特徴 | 格付けシステムの考案者。 |
王の許可を得たコニャック
レミーマルタン V.S.O.P.
地域 | フランス・コニャック地方 |
---|---|
品種 | 白葡萄(ユニブランを中心に、コロンバールとフォルブランシュも) |
蒸留 | リーズ蒸留法 ※加熱温度を徐々に上げていく |
樽材 | リムーザンオーク樽、メルパンのセラーにて熟成 |
定価 | 約4,000円 |
特徴 | フランス国王ルイ15世より新しい葡萄を植える権利を得る(この許可をアコー・ロワイヤル”王の許可”と呼ぶ) |
クリアな味わいに一家言あり
マーテル V.S.O.P.
地域 | フランス・コニャック地方 |
---|---|
品種 | – |
蒸留 | – セコンズ(ハートの次に出てくる再留液)は初留釜(ワイン)に戻す |
樽材 | トロンセ産オーク リムーザンオークより繊維の隙間が締まっている為、抽出されるタンニンが少なく、よりマーテルの特徴にあったクリアな酒質になる |
定価 | 約4,500円 |
特徴 | クリアで軽やかなボディを実現するために以下を行う ・徹底した澱引き |
ナポレオンに愛されたコニャック
クルボアジェ V.S.O.P.
地域 | フランス・コニャック地方 |
---|---|
品種 | 白葡萄(ユニブラン中心) |
蒸留 | リーズ蒸留法 蒸留所は2ヶ所。14基ずつ計28基所有 |
樽材 | フレンチオーク(リムーザン・トロンセ) ミドルトースト 既製品ではなく、森からクルボアジェ専用のオークを選び加工 |
定価 | 約4,000円 |
特徴 | 最も小さい最大手コニャックメーカー。農家との関係性が密。 |
日本人への最適解と言われるブランデー
カミュ V.S.O.P.
地域 | フランス・コニャック地方 |
---|---|
品種 | – |
蒸留 | リーズ蒸留法 |
樽材 | フレンチオーク |
定価 | 約4,500円 |
特徴 | 非常に柔らかでまろやかな飲み口。日本人の味覚に最も合うブランデーと言われている。 |
ブランデー|カルヴァドスの代表的な銘柄
フレッシュなリンゴの香りが特徴のブランデー
ブラー グランソラージュ
生産 | ノルマンディー地方、カルヴァドス・ペイ・ドージュ地区 |
---|---|
原料 | 林檎、洋梨(30%以下) |
樽材 | オーク樽 |
味わい | さっぱりフレッシュなアップルブランデー |
定価 | 約3,000円 |
コメント | 爽やかでフルーティな味わいが特徴のアップルブランデー。ソーダ割にすると格別の爽快感が味わえる。 |
ウイスキーとブランデーの違い|まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。私はもう限界です。あまりの文章量に後悔しています。
飲んでいたコニャックも無くなったのでもう寝ようと思います。お休みなさい。