マッカラン12年のゴム問題に対する議論は留まる所を知りません。
私の周りでは常に下図のような論争が繰り広げられています。
私は経験に乏しい為、どちらの意見が正しいのかさっぱり分かりませんでした。
ので、先日実際に飲み比べてみたんですよね。
その時の記事がこちら(↓)です。
この時に心残りだった事が一つ。
「旧ボトル18年からゴム臭がするなら旧ボトル12年からもゴム臭がするのでは無いか」
ここをハッキリさせられなかった事です。
※旧ボトルとは:現行品(2020年現在)と90年代ボトルの間に存在するボトル。肩のシールは三角形ですが、カッティングが現行品に比べややツルッとしています
で、先日一枚のテイスティングメモを見つけました。
そこにはなんと「マッカランのゴムの有無」について言及されていたんです!
果たして旧ボトルからゴムは香るのか?
確認してみましょう!
マッカラン12年|現行品と旧ボトルの比較
このテイスティングコメントは90年代のマッカランを頂く前に書いたもの。この頃は「マッカランゴム問題」なんて全く知りませんでした。
つまり、より純粋にゴムの有無が確認できる訳です。
この頃の私はどんなコメントを残していたのでしょう…
以下をご覧下さい。
テイスティング
マッカラン12年 ダブルカスク
オレンジ。チョコ。スパイス。ネガティヴとポジティヴの間を綱渡りしているメロンガム。スルリと口に入る。
テイスティング
マッカラン12年 旧ボトル
ダブルカスクに比べて強いシェリー感。ダブルカスクに比べてオイリー、アルコールの刺激、生臭さ。舌に残るゴム。苦い砂。 (ビターなチョコと一緒に食べたい)
マッカラン12年|現行品と旧ボトルの違いの考察
新旧合わせてコメントが出揃いました。このコメントの意味するところを精査してみましょう。
01
メロンガムとは
ここで言う「メロンガム」は恐らくバニリンやセメダイン系の香りを指しています。
当時の私はバニリンとセメダインから合成甘味料を連想しがちでした。メロンやキュウリなど、ウリ科の植物の香りも捉えがちでした。
02
クリーミーさとは
「唇で感じるクリーミーさ」は恐らくグラス由来のコメントでしょう。
このリーデルのヴィノムというグラスはウイスキーを滑らかに感じさせてくれる凄いグラスです。
このテイスティングではノイズですので無視します。
03
ゴムはあったか
最も重要な「ゴム・苦い砂」という単語。私は12年旧ボトルからゴムを感じ取っていたようです。
マッカラン12年|ゴムのにおいはいつから?
以上を元に結論付けます。マッカランはどのボトルからゴム臭を感じるようになったのか。
その答えは旧ボトルからではないでしょうか
旧ボトルから感じたとすると、前回記事で旧18年から感じたゴム臭にも納得がいきます。良かった良かった。
マッカラン|ゴムの香りの発生時期は
マッカランの原酒はいつからゴム臭くなったのでしょう。
まず、ゴム臭く無かった90年代流通品と、ゴム臭かった旧ボトルの原酒蒸留年を推測してみましょう。
原酒の蒸留年
90年代流通品
恐らく
1970-80年代以前
原酒の蒸留年
旧ボトル
恐らく
1990年代以降
となると、気になるのはその年の出来事です。
1990年代に何が起こったか。それは…
1990年代の出来事
1996年
HD社に買収
※HD社:ハイランドディスティラリー社
1998年
エドリントンに買収
買収に次ぐ買収。1990年代はマッカランにとって慌ただしい年代だった事が分かります。このドタバタの間にゴムの香りが生まれたんだと思います。
しかしそのドタバタから既に20年以上経過しています。ゴムの香りをネガティブなものと捉えているならそろそろ修正されているはずです。
マッカランにとってこのゴムの香りは「製法上修正できないもの」もしくは「良しとしている」可能性があります。
▶︎蒸留器の増設
また、マッカランは20世紀中期から蒸留器をどんどん増やしてまして。
1965年に6基
1974年に6基
1975年に3基
追加しています。
旧ボトルに詰められている原酒には、元々あった蒸留器から作られる原酒より、これら新しい蒸留器から作られる原酒の方が多く使用されていると思います。
▶︎自社樽の使用
更に1974年から自社でシーズニング樽を生産をするようになりました。
この取り組みが先進的であった事は事実ですが、従来のシェリー樽と違う味わいになっているのもまた事実です。
▶︎大麦品種の変化
更に更に、ウイスキーの原料である大麦の品種も変わっています。
マッカランは原料となる大麦麦芽にゴールデンプロミス種を使用する事で有名でしたが、1990年代にはほとんど使われなくなってしまいました。
※一説には1993年には全体の30%程しか使われていなかったとする説も
2000年代以降はオプティックやコンチェルト、モメンタムを使用しているとの事ですが…
70〜80年代の強い酒質が生まれていた頃はゴールデンプロミス種が主流であった事から、品種の違いを原酒の違いに結びつける方は少なくありません。
マッカラン12年|まとめ
以上の事から、マッカランのゴムの発生時期を以下のようにまとめます。
マッカラン
ゴムの香りの発生時期
旧ボトルから
※1990年代以降に作られた原酒から
気になるのは「昔の蒸留器からはゴム臭がしなかったのか」という点です。
1946年に蒸留されたマッカランからはゴム臭はしませんでした。1974年に蒸留されたマッカランからもゴム臭はしませんでした。
ので、「しなかった」とまとめたくはありますが。「多分」しなかったでしょう。きっと。はい。
50年代、60年代のテイスティングコメント、お待ちしております。
記事で使用したマッカランはこちら
MACALLAN/マッカラン12年
ダブルカスク(現行品)
・OFFICIAL COMMENT・
“芳醇”さはそのままに滑らかで甘みのある、洗練されたバランス
▼
・ICHIRO’S COMMENT・
バーボン要素ちょい足しマッカラン
特徴 | オレンジ・チョコ・スパイス・メロンガム |
---|---|
飲みたい場面 | オールデイ |
定価 | 7,000円 |
マッカラン|口コミや評価・評判
最近は終電が多いので、BAR通いが実に多いです。マッカラン・ダブルカスクはハイボールに。飲み応えはあるので、家飲みには向かいかなあ。数年ぶりに山崎12年は飲みたくなったので、最近の山崎12年の、出来の確認も兼ねて頼んだら、少し前の山崎12年が出るというオチ。 pic.twitter.com/FPu1xMjELk
— ポット (@bowmore80s) October 28, 2017
暑い😵
人一倍汗っかきなので、店内はかなり冷やしてますが、換気扇を回すとあっという間に30℃🌡
お客様にもご迷惑をかけますが、ご協力をお願いします🙏
「マッカラン・ダブルカスク」のソーダ割り………美味#蕨 #バー #アンバームーン #ambermoon pic.twitter.com/oXSFU9dAGg
— amber moon (@ambermoon_bar) August 15, 2020
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