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ジョニーウォーカーの秘密|誕生から噂話まで。おすすめボトルの紹介も【世界一のスコッチ】

ジョニーウォーカーの歴史・アイキャッチ

ジョニーウォーカーは第二次世界大戦以来世界一の売り上げを誇り続けている由緒正しきスコッチウイスキーです。

キーモルトに使われているカードゥはジョニー・ウォーカーの歴史を決定付ける重要な存在。更にタリスカーラガヴーリンが加わると、その存在は磐石なものとなりました。

親子三代に渡り洗練、昇華されたこのウイスキーは英国御用達となり、歴史に名を残す事となりました。

世界一のスコッチウイスキー、ジョニーウォーカー。
その秘密に迫ります。

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大事な部分をササッと確認。よろしければご覧下さい。

ジョニーウォーカーの歴史

ジョニーウォーカーの歴史は5つに分けることができます。

01|起源「食品雑貨店」
02|改良「レシピ、
ボトルデザインの改良」
03|発展「世界進出」
04|天変「世界一のウイスキーへ」
05|安定「ディアジオ社傘下へ」

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ジョニーウォーカーの歴史|01
食品雑貨店

創業者ジョン・ウォーカーJohn Walker)は元々農家の息子として生を受けました。

ある日、ジョンの父が亡くなってしまいます。
当時のジョンはまだ若く、農場の経営は続けられないと判断。

そこでスコットランドのキルマーノックの大通りに食料雑貨店を構える事を決意。
£417を開業資金とし、1820年に店舗をオープンしました。

ワインやウイスキーは開店当初から取り扱っていましたが、どちらかというと紅茶やスパイスの販売に力を入れていたようです。

・ジョンは酒嫌い?・

今でこそジョンはジョニーウォーカーの産みの親として知られていますが、その実は禁酒家だったと語る人もいます。

それでも市場を見極めウイスキー需要に答える事に成功した彼は生粋のビジネスマンだったと言えるでしょう。

 

そんなある日、大きな出来事が発生します。
酒税の引き下げが決定しました。

これは従来の半額以下でウイスキーを販売する事ができるようになる事を意味します。この事実を知ったジョンはウイスキーの取り扱いを強化しました。

しかし、ここでジョンは悩みます。
販売していたウイスキーの品質が安定していなかった為です。

・ウイスキーの味はバラバラだった?・

当時のウイスキーは、ボトルに詰めて販売する現代とはまったく違う方法で売られていました。

・ウイスキーを取り巻く環境・
ウイスキーは樽から直接注いで売るのが常識
ウイスキーは樽ごとに味が違う

・当時の対応・
店に置いたウイスキーの味を樽ごとに把握しておく
お客の要望に沿ったブレンドをその場で行う

つまり顧客の好みに合わせた完全オーダーメイドで提供していました。ある意味贅沢にも感じるのは私だけでしょうか。

 

そこでジョンは事前に調合したウイスキーを販売する事を思い付きます。「毎回その都度ブレンドするのも面倒だ…」なんて思ったのかもしれません。

そうして完成したのがブレンデッドモルトウイスキー「ウォーカーズ・キルマーノック」です。このウイスキーは顧客から一定の評価を得る事に成功しました。

ジョニーウォーカーの歴史|02
レシピ、ボトルデザインの改良

その後、大洪水や売上不振といった不幸に見舞われつつも店をジョンは店を守り続けました。

しかし、53歳を迎えたその年、彼は帰らぬ人となりました。家業は息子のアレクサンダー・ウォーカーAlecxander Walker)に引き継ぎます。この息子は自社ウイスキーの発展に大変貢献しました。

四角いボトルの採用
斜め(角度24°)に貼り付けたラベル

遠くからでも目立つウォーカー家のウイスキーは次々に指名買いされました。

 

その成功から1865年に12年熟成のブレンデッドウイスキー「オールドハイランド」の製造を始めます。
連続式蒸留器も購入し、ウイスキーの大量生産を始めました。

・売上向上・

アレクサンダーのアイデアにより、ウォーカーズキルマーノックの売り上げは年間45万リットルに達しました。
当時のスコットランド内蒸溜所の平均生産量は35万Lほどだった事を考えるとその凄さに気付きます。

ところで、オールドハイランドの生産地はキルマーノック (ローランド)にあるのに商品名はオールド「ハイランド」なんて…ちょっと面白いですね。

その後、拠点を当時最も栄えていたと言われる都市ロンドンに移したりと事業の発展スピードを緩めることはありませんでした。

アレクサンダーはウイスキー事業の利益を高めに高め、社内で利益のウイスキーが占める割合を90%〜95%にまで引き上げました。父ジョンの時代は8%程だった事を考えると、アレックの剛腕ぶりがいっそう伝わります。

ジョニーウォーカーの歴史|03
世界進出

そうして事業を発展させたアレクサンダーですが、寄る年波には勝てませんでした。彼の死後は2人の息子が後を継ぎました。(3人目の息子が存在していたという説もありますが、ここでは触れません。)

経営面はジョージ・パターソン・ウォーカーGeorge Paterson Walker)が担い、製造面をアレクサンダー・ウォーカー2世Alexander Walker ll)が担いました。

父亡き後は兄弟二人三脚で頑張った…と思いきや、彼らの中は良くありませんでした。
度々言い争いがあったと言われています。

・兄弟不仲説? 3人目の息子とは・

実はジョージとアレクサンダー2世は異母兄弟でした。その為か兄弟間での言い争いが絶えなかったと言われています。

また、ジョージにはジョンという兄弟が存在し、その彼はオーストラリア事業を担っていたとする説もありますが、資料に乏しいため割愛させて頂きます。

 

兄弟仲が悪くとも、事業は発展を遂げました。

手中に収めた蒸溜所は数知れず。中でもカードゥ蒸溜所を買収したことは彼らのブランドにとって大きなポイントとなりました。

 

そのカードゥ蒸溜所で作られたモルトを中心に作ったのが、そう。ジョニー・ウォーカーです。

ジョニーウォーカーは熟成年数表記がなされていません。その代わり、ラベルの色でグレード分けがなされていました。

これは当時にしては革新的で、識字率の低かった地域でも受け入れられる理由の一つとなりました。

 

我らがよく知るマスコット「ストライディングマン 」もこの頃誕生しました。このマスコットは100年以上経った今でも世界に愛され続けています。

・蒸溜所の買収・

ジョン・ウォーカー&サンズ社が買収した蒸溜所はカードゥ、コールバーン、クライヌリッシュ、ダルユーイン、タリスカー、モートラックと数多く。彼らの資本力に舌を巻きます。

ジョニーウォーカーの歴史|04
世界一のウイスキーへ

19世紀末はウイスキー業界にとって激動の年でした。

大手ブレンデッド業者のパティソン社の(詐欺による)倒産
広がる禁酒運動による経営悪化。

ジョン・ウォーカー&サンズ社もその煽りを受けました。

個人的に好きなエピソードは「米国禁酒法はウイスキーをカナダ経由で密輸する事で逆に知名度を上げた」というもの。ウォーカー家のタフな一面が伺える話です。

 

しかしとうとう1925年、業界大手のDLCの傘下に入る事となります。

その後、ジョン・ウォーカー&サンズ社の傘下だったカードゥ蒸溜所に関わり深いロナルド・カミングがジョニーウォーカーの輸出責任者となる事に。

ちなみにジョニーウォーカーのブランドマネージャーもカードゥ蒸溜所出身の方が務めました。

買収先のスタッフがいつのまにか上司に…
ウォーカー家はどんな面持ちで業務に当たっていたのでしょう。

DCLの吸収から15年ほどたったある日、ウォーカー家はウイスキー業から撤退する事を決めました。

 

しかし皮肉にもジョニー・ウォーカーブランドは目覚ましい発展を遂げます。

第二次世界大戦後の1945年、年間100万ケースの販売を記録し、世界で最も売れているスコッチウイスキーとして認められました。

その後も販売量を増やし続け、なんと1958年には年間500万ケースを達成。
その成長ぶりは留まるところを知りません。

その成果を認められてか、輸出責任者だったロナルドはDLCの会長となりました。
凄いですね。

ジョニーウォーカーの歴史|05
ディアジオ社傘下へ

順風満帆に見えるDCL社ですがその先には荒波が待ち望んでいました。

1986年にはスタウトビールで有名なギネス社に買収
そのギネス社は1997年に複合企業のグランドメトロポリタン社と合併します。

そうした吸収合併を経て、業界最大手の酒販企業ディアジオ社が誕生しました。

ディアジオ社の贅順な資本力の元、ジョニーウォーカーはラインナップを拡充していきます。

 

現在ジョニーウォーカーブランドから出されているスタンダードボトルは「レッド」「ブラック」「グリーン」「ゴールドラベル・リザーブ」「18年」「ブルー」と幅広いものになっています。この充実さは他のブランドでは中々お目にかかれません。

先日は設立200周年を記念して特別なボトルやイベントが開催されたりもしました。これからも盛り上がり続けるであろうジョニー・ウォーカーブランドから目が離せません。

ジョニーウォーカーの味の秘密|キーモルト

ブレンデッドウイスキーであるジョニーウォーカーには、実に様々な蒸溜所の原酒が繊細なバランス感を持って調合されています。

代表的なキーモルトはこちらです。

・カードゥ
・タリスカー
・クライヌリッシュ
・ラガヴーリン
・カリラ

この中でよく名前が上がるのはタリスカーラガヴーリンでしょう。特にジョニ黒からはその香りが顕著に香ると言われていますしね。(漫画「バーテンダー」でもそのシーンが描かれています)

しかし、私としてはカードゥを押したいところ。カードゥ蒸溜所はジョニーウォーカーの歴史を語る上で欠かす事のできない蒸溜所だからです。

ジョニーウォーカーのキーモルト
カードゥ蒸溜所

カードゥ蒸溜所は1824年にカミング家によって設立されたスペイサイドの蒸溜所。1893年にジョンウォーカー&サンズ社(以下JW&S)に売却されて以来、その原酒を提供し続けていました。

ある日、JW&S社の傘下として働いていたカミング家に転機が訪れます。
それがDCLによるJW&S社の買収です。

大手ブレンド会社パティソン社の詐欺による業界のイメージの低下や禁酒運動の広まりによってJW&S社の資本力が低下していたところに、DCLが傘を差しにやってきました。

JW&S社は傘下となる事を決めましたが、ここからが面白いところです。
なんとジョニーウォーカーブランドのマネージャーを務めたのはカードゥ蒸溜所出身2人です!

 

その二人の名前は「ロナルド・カミング」と「ジョージ・トムソン」。特にロナルドはエリザベス・カミングElizabeth Cumming)の孫。エリザベスはJW&S社がカードゥ蒸溜所を買収した時に蒸溜所長を勤めていた人物です。

因縁を感じずにはいられません。

その後ウォーカー家はウイスキー業から撤退。
ロナルドはDCLの会長にまで上り詰めました。

ジョニーウォーカーブランドが世界一の売り上げを記録した頃、ウォーカー家からブランドは離れていた訳です。ウォーカー家は一体どんな心持ちだったのでしょうか…

ジョニーウォーカーを愛飲する人々|アーネスト・ヘミングウェイ

世界一の売り上げを誇るジョニーウォーカーは多くの人に愛飲されました。大戦中はジョニーウォーカー・レッドラベルを持って写真を撮ることが”粋”だとされていた程です。

そんなジョニ赤を愛した作家の一人に、かの有名なアーネスト・ヘミングウェイErnest Hemingway)が挙げられます。

「老人と海」で有名な彼はカクテル好きで有名でしたが、ウイスキーも同じくらい愛していました。そのウイスキーと言うのが、そう。ジョニーウォーカーです。
※デュワーズやヘイグも愛飲していたと言われています

 

ヘミングウェイの他には、演説家としても有名な英国首相「ウィンストン・チャーチル」に愛飲されていた事でも有名です。

彼は毎朝9時30分にジョニーウォーカーのソーダ割り(チャーチルの家族はパパ・カクテルと呼んだ)を飲んでいたと言います。

常にほろ酔いである事で舌の周りを良くしていたのかもしれませんね。

ジョニーウォーカーの種類・ラインナップ

スコッチウイスキー業界のトップを走り続けるジョニーウォーカー。その味わいの特徴は「コク」「ピート」力強いバランスにあると言われています。

実に多くのラインナップを輩出しているジョニーウォーカーシリーズ。
その一端を覗いてみましょう。

ジョニーウォーカー
レッドラベル

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JOHNNIE WALKER(ジョニーウォーカー)
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ジョニーウォーカーシリーズで最も販売量の多いボトル。キーモルトはタリスカーで、カクテルに向いた味作りをしています。

イチロー
イチロー
軽快なスッキリハイボールに向いてます
ジロー
ジロー
デイリーにぴったりなボトルです

ジョニーウォーカー
12年 ブラックラベル

そのスモーキーさが特徴的な、いわゆるジョニ黒。

熟成年数は12年。キーモルトはカーデュ、タリスカー、ラガヴーリン。
バランスの良さは「ブレンディングの教科書」と呼ばれるほどです。

かつて日本では酒税法の関係で高額でした。
その価格は物価換算で今の100倍!驚きを隠せません。

イチロー
イチロー
バランタインやカティサークなどと比べてもしっかり濃厚&スモーキーです
ジロー
ジロー
まずはここから如何でしょうか

ジョニーウォーカー
12年 ダブルブラック

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JOHNNIE WALKER(ジョニーウォーカー)
¥2,901
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ブラックラベルの特徴を際立たせた商品。際立つ香りとコク、スモーキーさが消費者に愛されています。数々の品評会で受賞歴があります。

イチロー
イチロー
ジョニ黒好きのツボを突いた味作りになっています
ジロー
ジロー
ジョニ黒との飲み比べも楽しいです

ジョニーウォーカー
12年 ジェーンウォーカー

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ジョニーウォーカー 黒ラベル 12年 ジェーンウォーカー ED 750ml 並行

女性版ストライディングマンを採用した「ジェーン・ウォーカー」が2018年に発売されました。3月8日の国際女性デーにリリース。中身は12年ブラックラベルと同様です。

イチロー
イチロー
昨今の情勢を意識した限定ボトルです
ジロー
ジロー
色々と考えさせられますね

ジョニーウォーカー
15年 グリーンラベル

シリーズ唯一のブレンデッドモルトです。

熟成年数は15年。キーモルトはタリスカー、リンクウッド、クラガンモア、カリラ。
2013年春に一時販売中止されましたが、2016年8月に復活しました。

イチロー
イチロー
とてもフルーティになりました。スモーキーさも健在です
ジロー
ジロー
味に対してコスパ良し。贅沢ハイボールに如何でしょうか

ジョニーウォーカー
ゴールドラベルリザーブ

名前が変わる事数回。今や熟成年数も非表示となりました。

とはいえその味わいはハイクオリティ。
ゴールドの名にふさわしい存在感を放っています。

イチロー
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酒質がまろやかに。シェリー樽の要素が強調されています
ジロー
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リッチな酒質をお求めのあなたに

ジョニーウォーカー
18年(プラチナ)

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JOHNNIE WALKER(ジョニーウォーカー)
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元々は「プラチナラベル」という名前で売れられいましたが、いつの間にか「18年」に変更されました。

キーモルトはクライヌリッシュ。アレクサンダー2世が遺したレシピノートから誕生した一本です。

イチロー
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バランスよく膨らむリッチな甘味、そこに混じるスモーキーな香りに舌鼓を打ちます
ジロー
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確かな熟成感を感じます。上質を求めるあなたに

ジョニーウォーカー
ブルーラベル

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JOHNNIE WALKER(ジョニーウォーカー)
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ジョニーウォーカーシリーズのスタンダードボトルの中で最もハイレンジの商品。

熟成年数は非表示ですがその味は一級品。発売以来、世のウイスキー好きが魅了されてやまない香味を放ち続けています。

イチロー
イチロー
洗練されたバランス。柔らかな香りが確かな質量を持って口内を満たします
ジロー
ジロー
繊細な甘やかさ、ほんのり香るスパイス、それを優しく包む煙。完成度が非常に高いボトルです

ジョニーウォーカーの口コミ・評判

ABOUT ME
Saburo
Saburo
佐武郎です。よろしくお願いします。▶︎職業:バーテンダー ▶︎資格:ウイスキーエキスパート(ウイスキー文化研究所)、ソムリエ(J.S.A.)、ゴンドラ取扱業務特別教育修了済(日本ビソー)