エドラダワー蒸留所|スペック
【会社】
シグナトリー・ヴィンテージ・スコッチ・ウイスキー社
【国】
スコットランド/ハイランド/ピトロッホリー(南ハイランド)
【名前の由来】
「スコットランド王、エドレッドの小川」
または「2つの小川の間」(エドラダワー川、キネアード川)
【ラベル】
—
【ロゴ・アイコン】
蒸溜所のイラスト
【ボトル】
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【原料】
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【ピート】
—
【仕込み水】
ベンヴラッキー山の湧き水
【発酵曹】
オレゴンパイン製 x2槽
【イースト】
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【発酵時間】
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【蒸留器】
ストレートヘッド型とオニオンボール型を1基ずつ
初留釜 x1
再留釜 x1
【冷却器】
ワームタブ
【樽】
シェリー樽
バーボン樽
その他の酒精強化ワイン、ワイン樽も使用
【年間生産量】
9万L
【ブレンド先】
ほぼシングルモルト用として生産
以前はハウス・オブ・ローズやキングスランサムなど
エドラダワー蒸留所|特徴
創業時と変わらない製法
糖化槽や発酵槽、ポットスチルは創業当時のものを使用
漱石の訪れた地
夏目漱石はこの地をロンドン留学の際に訪れていました(1902年)
漱石にとって印象が悪かったロンドン留学ですが、その中で唯一印象が良かったのがピトロッホリーの地だといいます。
極少量生産
生産部門のスタッフは3人
一週間に作られるスピリッツは14樽(250ℓホグスヘッド換算)。
これはスコットランドの平均生産量の40分の1程度
他の蒸溜所が1週間で生産する量を1年かけて生産することになります。
シングルモルトとして出荷しているのは年間2000ケース、2,4000本ほどです。
最小の蒸溜所では無い?
エドラダワー蒸留所より小さな蒸留所、北ハイランドのロッホユー蒸留所。
114リットルのポットスティルで操業をしています。
ロッホユー蒸留所のオーナーの交渉の末、「地域経済の振興のため」という特例で許可が降りたと言います。
蒸溜所の見学は可能。あえて怪しい雰囲気の演出をしたり、ひょうたん型の小さなポットスチルがあったりと、手作り感満載という話です。
業界最多の観光者数
生産量は年間9万Lで業界最少。
見学者数は年間約10万人とスコッチ業界最多。
秩父蒸溜所のモチーフ
秩父蒸溜所が参考にしたのがエドラダワー蒸溜所
鋳物の糖化槽を使用
1900年製の開放型の糖化槽、
1934年製のモートンタイプのオープン・ワーツクーラーを使用。
ワーツクーラーとは
糖化が終わった温度60度の麦汁(ワート)は、マッシュタンから濾過抽出したあとに、20度前後に冷却されます。次の段階で酵母を投入するとき、高温では酵母が死んでしまうためです。
このとき、現代ではヒートエクスチェンジャーと呼ばれる装置が冷却に使われます。垂直型のラジエーター方式で省スペースがメリット。
対して、昔ながらの方法は電気を使わないエコな「モートン式ワーツクーラー」。オープンワーツクーラーとも呼ばれますが、水平式の装置そのものが傾いているので自然に流れるうちに冷える仕組みです。
エドラダワーのワーツクーラーは老朽化が著しく、2009年に一部が新しいものに交換されているとのことです。
エドラダワー蒸留所|シグナトリー社とは
シグナトリー社はスコットランドのボトラーズ(独立系瓶詰会社)です。
創業は1988年。
エジンバラでホテルマンとして働いていたアンドリュー・サイミトンが彼の弟のブライアンとともに立ち上げました。
アンドリュー氏の夢はいつか自分の蒸溜所を持つこと
過去にはスキャパ、グレンタット、アードベッグなど様々な蒸溜所の獲得に奔走。しかしどれも失敗。
2002年、エドラダワー蒸溜所を獲得。
エドラダワーの広大なウェアハウスにはシグナトリー社が各地から取り寄せた珍しい樽がゴロゴロ転がっていると言われています。
エドラダワー蒸留所|バレッヒェンとは
ラフロイグ蒸留所で活躍したイアン・ヘンダーソン
2002年に定年退職した彼をマネージャーに抜粋し、2003年から仕込みを開始したブランドです。
ヘヴィーピーテッドタイプのウイスキー。
エドラダワー蒸留所|歴史
1825年
地元の農夫たちがアソール公から土地を借り入れしてダンカンフォーブスを結成
密造酒を作っていたと言われます
1837年
ジョン・マックグラッシャンといくつかの農家たちの農業協同組合の元運営される
実際に蒸溜所の建設に着工する
情報元はアソール城の古文書の記録。
当時の農夫たちの共同組合が、ランド・オーナーであるアソール公爵宛てに土地の借り受け許可の手紙を出していたことが記されているのです。
1841年
ジョン・マックグラッシャンがオーナーとなる
1860年
ジェームズ・レイドがオーナーとなる
1886年
ジョン・マッキントッシュがオーナーとなる
1933年
エジンバラのウイスキー・ブレンダー、ウィリアム・ホワイトリーにより買収
ウィリアム・ホワイトリーはアメリカでマフィア、フランク・コステロと契約を結び、大量のスコッチウイスキーを売りさばいていました。
ウィリアム・ホワイトリーとは
100近いブレンデッドスコッチを世に送り出してきた人物
「スコッチの司祭」と呼ばれる
ブランド「ハウス・オブ・ローズ」「キングスランサム」「クラン・キャンベル」を開発。
これらのキーモルトとしてエドラダワーのモルトを使用。
フランク・コステロとは
「暗黒街の首相」
アメリカナイズされたマフィアの象徴的人物
禁酒法時代のアメリカでスコッチは飛ぶように売れたそうです
1938年
アーヴィン・レイムがオーナーとなる
彼はマフィアのドン、カステロ氏と繋がりがあった
エドラダワー蒸溜所はレイムが在籍中はマフィアの傘下にあったといえます
1982年
ペルノ・リカール社の子会社、キャンベルディスティラーズに売却
同会社はスコットランドの有力貴族、アーガイル公キャンベルと関係が深く、キャンベル家当主、第12代アーガイル公を役員に据える
1986年
エドラダワー、シングルモルトとして初めて登場
(これまではブレンド用として原酒を生産していた)
2002年
シグナトリー・ヴィンテージ社のAndrew Symingtonが買収。
Edradour Distillery Companyを設立。
サイトの改修と拡張、およびシングルモルトウイスキーとしての継続的な生産に注力する。
ラフロイグ蒸留所を退いたイアン・ヘンダーソン氏をマネージャーに抜粋する。
2003年
ピーティングモルトの研究を開始
2006年
バレッヒェンをリリース
エドラダワー蒸留所|製品・特徴・ラインアップ
エドラダワー
10年
クリーミー。甘く、柑橘、キャラメルナッツ。フレグランス香
バレッヒェン
柑橘とクリーミーな甘味の絶妙な香りにピートがどっしりと感じられる。
バーボンカスクのファーストフィル70%、シェリーカスクのファーストフィル30%
50ppm。ノンチル・ノンカラー。
様々な種類のワインカスク・フィニッシュ・ボトル
コクがあり、太い酒室のエドラダワー。
その酒質ゆえか多くのワイン樽を用いたウイスキー作りを行なっています。
シグナトリー社が保有する上質なシェリーカスクやワインカスクは、エドラダワーのクリーミーな個性と結びついて非常にリッチになると評されています。
エドラダワー蒸留所|動画