ブッシュミルズ蒸留所|スペック
【会社】
クエルボ社
【国】
アイルランド/アントリム州/ブッシュミルズ
【名前の由来】
街の名
17世紀初め、アントリム州を流れる「Bush River(ブッシュ川)」 と町に建てられた大きな水車場(watermill)に由来します
【ロゴ・アイコン】
—
【ボトル】
—
【原料】
大麦
全てアイルランド産
【ピート】
ノンピート:自然乾燥
ライトピーテッド
【仕込み水】
セント・コロンバ川
【発酵曹】
ステンレス製 x8基
—
【発酵時間】
50時間
【蒸留器】
初留器:— [—ℓ x4]
再留器:— [—ℓ x6]
加熱:—
【冷却器】
—
【樽】
[バーボン樽] —
[シェリー樽] —
※その他ワイン樽も使用
【年間生産量】
450万ℓ
【ブレンド先】
—
ブッシュミルズ蒸留所|特徴
高いモルト比率
アイリッシュのブレンデッドウイスキーを造る場合、モルトウイスキー、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキーの3つのスピリッツをブレンドするのが定番の製造方法です。
しかしブッシュミルズは麦芽と大麦を使用して作るポットスチルウイスキーをブレンドしていません。
つまりモルトウイスキーとグレーンウイスキーの2つをブレンドしてウイスキーを作っているということです。
しかもブッシュミルズで作られるブレンデッドウイスキーのモルト比率は50%以上。非常に高いモルト比率を誇ります。
アイリッシュウイスキーを造る蒸溜所では「麦芽税」の対抗策として原料の麦芽の量を減らし、それ以外の穀物(グレーン)の割合を増やしてウイスキーを精製するようになりました。
そしてこの製方がいつしかアイリッシュウイスキーの製法として定番化していった…という歴史的背景がありました。
税を免れるために麦芽の比率を減らす蒸溜所が増える一方、ブッシュミルズだけは100%モルトウイスキーにこだわり続けました。
モルト由来のふくよかで優しい甘みは他のアイリッシュウイスキーでは表現できないポイントといえるでしょう。
世界最古の蒸溜所
ブッシュミルズは世界最古の蒸溜所ともいわれており、北アイルランドには創業400年を記念した旧ブッシュミルズ蒸溜所の建物を描いた紙幣が存在します。
ブッシュミルズの村はもともと紡績産業が盛んな土地で、いくつものウーレンミル(紡績工場)が立ち並んでいました。
創業当時のブッシュミルズ蒸溜所はこの工場を改装して作られたとのこと。
同蒸溜所は当時の英国王ジェームス1世から蒸溜免許を受領し、国が認めた最初の蒸溜所として稼働していました。
人気ブランド
アイリッシュの中ではジェムソン、タラモアデューに次いで3番目に売り上げのある人気のブランドです。
ブッシュミルズ蒸留所|歴史
1608年
ブッシュミルズの原型となる蒸溜所が建てられたと言われる
1743年
蒸溜所が稼働していた記録が残る
1784年
ブッシュミルズとしての正式な稼働が始まる
1885年
火災により蒸溜所が消失
再建に伴い測量技師であるチャールズ・クリー・ドイグをスコットランドから招致
ドイグ氏はグレンバーギーやグレンファークラス、ハイランドパークなどといった名だたる蒸溜所の建設に携わったスコットランドにおける蒸溜設計のカリスマです。
ドイル氏の得意とする設計はパゴダ屋根を持つ建物で、ブッシュミルズも例外になくパゴダ屋根で双塔のキルンが建てられました。
(パゴダ屋根は独特な形のとんがり屋根で、モルト蒸溜所の麦芽の乾燥塔です。形が仏塔に似ているのでパゴダと言われています。)
北アイルランドのアントリム地方はスコットランドとの結びつきが強かったため、当時の蒸溜所のオーナーがこのようなスタイルを指定したといわれています。
ブッシュミルズはアイルランドでは唯一、スコットランド的外観に仕上げられた蒸溜所なのです。
1923年
オーナー:サミュエル・W・ボンド
ベルファストの酒商サミュエル・W・ボンドが蒸溜所を買収
1972年
オーナー:IDG
アイリッシュ・ディスティラリー・グループ(IDG)の傘下に
1988年
オーナー:ペルノリカール社
2005年
オーナー:ディアジオ社
2014年
オーナー:クエルボ社
ブッシュミルズ蒸留所|種類・ラインナップ
ブッシュミルズ
モルト比率約50%。
ブッシュミルズ蒸溜所で造られたモルト原酒のみを使用しています。
樽>>
バーボン樽
香り>>
優しいバニラ、キャラメル
味わい>>
洋梨・リンゴのフルーティさ、バニラの濃厚な甘み
ブッシュミルズ ブラックブッシュ
オロロソシェリー樽とバーボン樽で最長7年長期熟成させたモルト原酒を80%以上使用し、少量生産したグレーンウイスキーとブレンドして造られたボトル。
樽>>
オロロソシェリー樽
バーボン樽
香り>>
ベリー系のフルーツケーキ
味わい>>
スパイシー、スムーズ。華やかでスイート
ブッシュミルズ シングルモルト10年
ノンピートの大麦麦芽のみを使用したスタンダードシングルモルトウイスキー。
伝統の3回蒸溜で造られたスピリッツをバーボン樽で10年〜13年熟成した原酒が使われています。
樽>>
バーボン樽
香り>>
シトラスフルーツ、赤いリンゴ、バニラ、ハチミツ、モルト由来の穀物の甘味
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ライトなテクスチャーに、味わいはバニラ、洋ナシ、チョコレートやカカオの甘みがありつつドライな印象
ブッシュミルズ シングルモルト12年
2019年の3月にラインナップ入りしたばかりのボトル。
アイリッシュ伝統の3回蒸溜を経て、バーボン樽、オロロソシェリー樽で熟成された原酒をヴァッティング。さらにその後マルサラワイン樽で熟成させたボトル。
樽>>
バーボン樽
オロロソシェリー樽
→ヴァッティング後、マルサラワイン樽で熟成
香り>>
ブッシュミルズらしいりんごの香り、ドライレーズン、麦芽のスコーン、少しだけガムのようなトロピカル
味わい>>
麦芽の甘み、バニラクッキーやアップルパイのなどの温かい甘み、マルサラワイン樽由来のベリー系の甘み。ややハーバル
ブッシュミルズ シングルモルト16年
オロロソシェリー樽とバーボン樽で16年熟成した原酒をヴァッティングした後、さらに数ヶ月ポートワイン樽で熟成したボトルとなります。
樽>>
バーボン樽
オロロソシェリー樽
→ヴァッティング後、ポートワイン樽で熟成
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レーズン、バニラ、メープルシロップがけのパンケーキ、アンズ、ローストナッツ、パンケーキ
味わい>>
糖蜜、ミルクチョコレート、アーモンド、後半にトロピカルなフルーティさ
ブッシュミルズ シングルモルト21年
こちらはオロロソシェリー樽とバーボン樽で19年以上長期熟成したモルト原酒をヴァッティングした後、さらに2年間マディラワイン樽にて熟成したボトル。
後熟に使うマディラ樽のカンテイロ製法の影響か、くどくないタンニン分が凝縮感を高めています。
カンテイロとは、ポルトガルの酒精強化ワインである「マデイラ」の製法の一種です。
マデイラは、意図的な熱による酸化熟成の風味が特徴ですが、この熱による酸化熟成の方法は大きく2通りあります。
1つは太陽熱による自然な方法。
もう1つが、人口装置による人為的な方法です。
カンテイロは、このうち太陽熱を利用する方法を意味しています。
屋根裏部屋などで行われ、主に白品種やヴィンテージマデイラを造りだします。
(人工熱によるものをエストゥファと言います。ステンレスタンク内で、人工的にワインを過熱する方法です。47~50℃で3か月以上実施。低い温度で長時間実施することで、ワインを滑らかに仕上げることができます。)
樽>>
バーボン樽
オロロソシェリー樽
→ヴァッティング後、マディラワイン樽で熟成
香り>>
凝縮されたトロピカルフルーツ感、ナッツ、カカオチョコ、バニラエッセンス。リコリスやシナモン
味わい>>
熟した洋ナシ、プラム、マンゴー、煮詰めたいちごジャム、レーズン様の濃厚な甘みの後にオレンジピール
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