テイスティング・レビュー

アードベッグ25年46%|特徴解説 価格評価【★(愛好家向き】

Ichiro’s Point
アードベッグ25年 2021

89+Pt

官能評価:★★★★
コストパフォーマンス:★★

アードベッグ25年|蒸溜所・価格

アイラモルト
アードベッグ25年
ARDBEG 25Yo

アードベッグは18世紀後半から稼働を続ける歴史の長い蒸溜所です。
20世紀後半に生産が不安定な時期がありましたが、グレンモーレンジィ社のアシストにより状態が改善されました。

 

今回頂くアードベッグ25年はブランド初の長熟ボトルです。熟成年数から見てグレンモーレンジィ社の手が加わる前の原酒が使われていると話題になっています。

製造責任者のビル・ラムズデン博士は「長期間の熟成にも関わらずスモーキーなフレーバーが失われていない、驚くほど複雑、優雅で魅力的なウイスキーに仕上がっている」と語ります。
この特徴的な外箱、ボトルのデザインに魅了される人も後を絶ちません。

蒸溜所 アードベッグ蒸溜所(ディアジオ傘下)
名前の意味 ゲール語で「小さな岬」の意
熟成年数 25年
樽材 バーボン樽
度数 46%
定価 約200,000円前後

アードベッグ25年|ラベル・ボトルデザイン

黒いボトルにアードベッグ独自のシェイプ。
とても独特ですがアードベッグらしさも感じる良いデザインです。

 

ボトルトップは銀色。いつもの組紐模様ではなく有機的な装飾がクッキリと彫り込まれています。この意匠は「檻に閉じ込めきれないスモーキーさ」を表現しているとの事です。

 

商品名はボトルに直接刻印されています。この微妙にムラがある質感も大好きです。

 

ボトル背面にはシールが貼られていました。

 

そう言えば昔、似たテイストのデザインをリリースされていましたね。

アードベッグ25年|味・香り

アイラモルト
アードベッグ25年
ARDBEG 25Yo

〜 香り/Nosing 〜
グレープフルーツ果汁を垂らした濃厚な蟹味噌
砕いたナッツを振りかけて

生き生きとしたグレープフルーツと潮
オイリー、蟹味噌、ヨード香
砕いたアーモンド、カシューナッツ

ウイスキーモンスター!罫線〜 一滴加水/Add Water 〜
パイナップル、微かにカルメ焼き

ウイスキーモンスター!罫線〜 味わい/Tasting 〜
非常に複雑
時間経過でとろけるチョコレート
小麦の爆ぜた花火大会

口当たりは柔らかくオイリー、ホットで複雑
ややハーバルでスミレの香り
スモーキーさ、ヨード香もしっかりと
香りはふくよか。ボリューミー

蜂蜜とオレンジピール
グレープフルーツピール、パイナップル、煙、煤
チョコレート、スパイス

時間が経つとチョコレートがトロトロにトロけ出す
モナカアイスに焦げたトースト
小麦のはぜた花見大会

ウイスキーモンスター!罫線〜 余韻/Finish 〜
ホットでスモーキー
クリーミーなチョコレート

クリーミー、チョコレート、ホットな煙

ウイスキーモンスター!罫線〜 同量加水/Twice up 〜
焦げの浮いた新鮮なグレープフルーツ果汁
焦げとグレープフルーツ

Ichiro’s Point
アードベッグ25年 2021

89+Pt

官能評価:★★★★
コストパフォーマンス:★★

アードベッグ25年|評価・レビュー

味わいは思いの外クリーミーで生き生きしています。ホットなタッチも残っていて面白い。アードベッグ好きが好むであろう長熟感を感じます。そのブランドとしての完成度の高さを評価してポイントに「+」を追加しました。

 

アードベッグ25年のボトルトップ。ブランドロゴの刻印がされています

一般的に、アードベッグやラフロイグといったパワフルなアイラモルトは熟成を経ると特徴が変化する傾向にありました。
若い頃は尖っていた少年が年齢を重ねて丸くなるような…

これは魅力であると同時に長熟アイラならではのジレンマでもあるとも感じていました。

 

ボトル下部。シンプルなあしらいが高級感を産んでいます

多くのアイラモルト愛好家がアイラモルトを好きになった理由は「パワフルでメリハリの効いたスモーキーな酒質」に惹かれたからでしょう。
そのイメージを持ったまま長熟アイラを飲むと違和感が生じることは想像に容易いです。(実際私もそうでした)

 

ボトル底面。素材感は変わらずマットブラックです。

このアードベッグ25年の凄いところは、そんな長熟アイラモルトに持っていたイメージを打ち破ってくれた所です。

この長熟アイラモルトは大変スモーキーです。生き生きとした酒質に複雑さも備えています。アードベッグTENの延長線上にあるボトルとして違和感がありません。

 

コスパには疑問は残ります。25年の加水タイプで20万円前後は中々です。

アードベギャンに対しては是非オススメしたいボトルですが…ラフロイグ25年はカスクストレングスが7万円前後で買える事を考えると…うーん(亀田ボトルってコスパ良かったんだなぁ…)

 

価格的には疑問が残りますが香味はとても良いものでした。

例えるなら、そう。制作会社で二十年以上第一線で活躍され続けているエネルギッシュな伊達男。懐が深く、粋で遊び心もある彼は、実に多くの方から愛されている事でしょう。

アードベッグ愛好家の方は是非お試しください。
それではまた。

アードベッグ25年|アードベッグTENとの違い

アードベッグTENと飲み比べてみました。

TENは比較的爽快感があります。蟹味噌の要素もサッパリとしていて、若々しい。そしてクリーミーですね。一滴加水でマイルドに。ヨード香が柔らかく広がります。

TENの良さは何と言ってもこの若々しい原酒とパワフルなスモーキーさでしょう。メリハリの効いた味わい。存在を主張しているピート。時間が経つほどミルキーになり、最後にはモナカアイスのように変化する口当たり。

TENはTENで良いんだよなぁ。ブレンダーの偉大さを実感します。

余談|スモーキーなウイスキーに思う事

話は逸れますが、ピートの有無はウイスキーにどのような影響を与えると思いますか?
私は「ボリュームの増加」「若い原酒へのマスキング効果」があると信じています。

そう。それは炭火焼鳥を連想します。(ノンピートのウイスキーは鳥刺し。素材の味で勝負するストイックなスタイルです)

若さが目立つ原酒でもピートはソレを隠してくれます。そして重厚さ奥行きも産んでくれます。なんて素晴らしいんでしょう!これはコスパの良さにも繋がります。

コスパ良く美味しいウイスキーを楽しむ秘訣はピートにあり。
貴方もホットでスモーキーなピーテッドウイスキーの世界に飛び込んで見ませんか?

アードベッグ25年|飲ませて頂いたお店

このウイスキーを飲ませて下さったのは京都のBARノスタルジアさん。アードベッグ好きのマスターが楽しい時間を提供して下さいます。店内に飾られた数々の限定ボトルも必見です。

アードベッグ25年|口コミ・評価評判

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Ichiro
ウイスキーエキスパートのバーテンダーです。アイラ沼からやって来ました。得意技はタックルに合わせたフロントチョーク。苦手な技は足関節。人に助けられて生きてます。